コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ46

1 : 忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/06/26(日) 14:23:43.14 ID:R+wJ/hTa.net
ここはPS2/PSPソフト「コードギアス反逆のルルーシュ LOST COLORS」SS投稿スレです。感想等もこちらで。
このゲームについて気になる人は、公式サイト(更新:2008/06/20)をチェックしてください。
基本sage進行で、煽り・荒し・sageなし等はスルーするか専ブラでNG登録して下さい。
(投稿前に読んでください >>2-6

■SS保管庫
 ・コードギアス LOST COLORS 保管庫 Ver.1.35 /スレッド41中途まで作品収納
  /管理人:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
  http://www1.ocn.ne.jp/‾herma/CodeGeass_LostColors/2ch/0.html
 ・lcss保管庫 @wiki /スレッド40以降の作品収納 /管理人:◆1kC3aaXjik
  http://www36.atwiki.jp/lcss/

■前スレ(45)
 http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1281466514/
 (過去ログは保管庫スレッド一覧から閲覧できます)

■コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 32(新スレ誘導用)
 http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gal/1226828782/l50

■関連スレ (外部板)
 ・コードギアス ロスカラのライ 彼の世界は十人10色 /主人公キャラスレ
  http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/7666/1285861365/l50
 コードギアス反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ避難所(仮)
 ・代理投下依頼専用スレッド
  http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12122/1241695852/l50
 ・議論用スレ
  http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12122/1226990774/l50
 lcss保管庫@wiki 連絡掲示板 (http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12747/
 ・連絡スレッド
  http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12747/1243581572/l50
 ・感想スレッド
  http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12747/1243673150/l50

 ・コードギアス【ロスカラエロパロSSスレ】 (18歳未満は立ち入り禁止です)
  ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11674/1264506850/l50
 ・801SS投稿スレ (18歳未満は立ち入り禁止です)
  ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/7725/1239261602/l50

■公式サイト http://www.geass-game.jp/ps/
■アニメ公式サイト http://www.geass.jp/
■攻略wiki http://www9.atwiki.jp/codegeasslc/

■次スレについて。
 950レスもしくは460kBオーバーしたら、スレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから。
 重複などを防ぐために、次スレ建設宣言から完了まで投稿(SS・レス共に)は控えてください。
  ※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例)940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など。

2 :創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 14:25:44.39 ID:R+wJ/hTa
■SSを投下される方へ (投稿に伴う規制は>>3参照)
 1.充分な推敲はしましたか?誤字脱字のほか、1レス分の投稿分量にも注意してください。
   1レスには投稿可能な容量の限界があります。容量確認には>>3に紹介されているSSチェッカーが便利です。
 2.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい。(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
 3.前書き・後書き含めて10レス以上の連投になると投稿規制がかかります。(←「さる」状態)
   間に他IDからの「支援」が入ることで規制は回避できますので、規制にかかりそうな長文投稿の際は
   投下前に支援を要請して下さい。逆に、必要ない場合は支援の要らない旨を書いてください。
   忍法帖のレベルにより異なりますが、最長120秒の間隔をあけることで次レスを投稿できます。
 4.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為にリロードしてください。
   直前の投下完了宣言から15分程度時間を置いてください。
 5.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
 6.なるべくタイトル・カップリング・ジャンルの表記をして下さい。
   ・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
   ・前書きの中に、以下のテンプレを含むことが推奨されます。(強制ではありません)
    【メインタイトル】
    【サブタイトル】
    【CP・または主な人物】
    【ジャンル】
    【警告】
 7.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
   ・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。
    その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップも付けて下さい。
    (トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で)
 8.規制により投下できない場合は>>1の 代理投下依頼専用スレッドに投下し、
   代理で投下してもらう方法もあります。

3 :創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 14:28:08.37 ID:R+wJ/hTa
■投稿規制について(暫定)
 掲示板では、荒らし目的での投稿を防ぐため、様々な規制が設けられています。

○「忍法帖」について(http://info.2ch.net/wiki/index.php?%C7%A6%CB%A1%C4%A1%B4%AC%CA%AA
 回線の繋ぎ直しで変化するIPによる自演や別人のなりすましなどを規制する目的で導入されました。
 cookieによってブラウザごとに作成され(Lv.1)、規制の適用されない範囲で日々投稿を続けていると
 一定時間ごとにレベルが上がっていきます。このレベルが不十分だと、投稿容量や投稿間隔の制限、
 スレ立てができないなどの規制がかかります。

○「支援」について
 同一IDからの、短時間での一定回数以上の連続投稿は規制の対象となります(ばいばいさるさん)
 長編SSを複数レスに渡って投稿する際、この連投規制を避けるために
 他IDから何らかのレスを挟むことを「支援」と呼んでいます。
 ・1時間に投稿できる数は10レスまで。それを超えると規制対象に
 ・毎時00分ごとにリセット。00分をはさめば最長20レスの連投が可能
 ・規制されるのは2人まで。身代わりさるさん2人で、00分を待たずにリセット
 支援が必要な際は、投稿予告をするなどして支援を要請してください。

○同一内容の投稿に対するマルチポスト規制(おしりくさい虫など。携帯のみ? )
 「支援」などの同じ言葉を繰り返し投稿することでも受ける規制
 違う内容を投稿すれば解除される。スペースを挟むだけでも効果あり

○1レスで投稿可能な最大容量(忍法帖のレベルによって、さらに制限がかかります)
 ・X:1行の最大 / 255byte
 ・Y:最大行数 / 60(改行×59)
 ・Byte :最大容量 / 4095Byte
  但し、改行に6Byte使うので注意。例えば60行の文なら59回改行するので
  6Byte×59=354Byte これだけの容量を改行のみで消費する。

  ※1レス分の容量の投稿の可否を判断できるツールがトーマス卿の保管庫からDLできます。
   TOP→通常→保管嚮団→保管嚮団本部入室→SSチェッカー
   <使用法>
   1.ダウンロードしたものを解凍する。
   2.SS.xls を開く。
   3.SSをテキストエディタで開く → Ctrl A で全文コピー
   4.貼り付けシートのH11セルを選択。
   5.右クリック → 形式を選択して貼り付け → 値
   6.レスを区切るところに
   <<<<<レス区切り>>>>>
    をコピペ(H6セルのものをコピペする)
   限界値は自由に変えられます。いろいろお試しください。

4 :創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 14:31:04.50 ID:R+wJ/hTa
■画像投稿報告ガイドライン
 ロスカラ関連の自作画像を投稿できます。

・ロスカラSSスレ派生画像掲示板
 PC用  http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic
 携帯用(閲覧・コメントのみ) http://bbs1.aimix-z.com/mobile.cgi?room=lcsspic

 1.画像掲示板に絵を投稿する。コテハン、トリップ使用推奨
   ロスカラスレに投稿されたイメージイラストなどの場合はその旨明記してください。
 2.こちらのスレに投稿報告。
   微エロやゲテモノなど、その他人を選ぶ内容については注意書き必須
 3.気になったら画像掲示板を見に行く。
   感想は、原則として画像掲示板に書きこんでください。 画像に興味ない人はスルーしてください。
 4.本人より投稿報告のあった作品については、保管庫に収納されるかもしれません。
   保管を希望しない場合は、投稿報告時にその旨明記してください。

■SS保管庫収納作品の修正について
 作品の修正は、本人からの修正依頼で行われます。

○保管庫(黒)収納分について(〜41スレ投稿分)
 (http://www1.ocn.ne.jp/‾herma/CodeGeass_LostColors/2ch/0.html
 ・事前にメールアドレスの認証が必要です。
  以下のリンク先での手順に従い、本人確認を行ってください。
  メール認証関連専用スレッド
  http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12122/1249745955/l50  
 ・要望、修正依頼等は認証済みのメールアドレスから[geass_lc_ss@yahoo.co.jp]へ送ってください。
  各作品に付与されているマスターコード(その作品の投稿が始まる各4桁の「スレ番号-レス番号」)、
  希望する修正内容を明記してください。
  例)0003-0342 のタイトルを○○に カップリングを○○に  など。
 ・保管される際の文字サイズやルビ振り、文字・背景色などhtmlタグによる編集を行うことができます。
  使用可能タグ等は保管庫参照。(保管嚮団本部→資料室) 
  テキストエディタにより編集したものをメールに添付して送ってください。

○保管庫(白)収納分について(40スレ投稿分〜)
 (http://www36.atwiki.jp/lcss/
 ・以下のスレッドのガイドラインに従って修正を依頼してください。
  連絡スレッド
  http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12747/1243581572/l50

—-以上、テンプレ終了—-

5 : 忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/06/26(日) 14:51:12.19 ID:rKAJBIW0
立て乙

6 :創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 17:42:12.74 ID:pjoYP+xj
乙です

7 :創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 18:55:43.81 ID:E65+AC1J
乙です

8 :創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 20:28:06.52 ID:Rqn7IJ8P
乙〜。

9 :創る名無しに見る名無し:2011/06/27(月) 17:15:11.20 ID:qnASH6xL
乙です。
立てるのもそう気楽には出来なくなっちまってるからなあ。
ありがたい。

10 :創る名無しに見る名無し:2011/06/27(月) 17:27:39.16 ID:dx1allRf
>>1 乙

>>3の○「忍法帖」について 何だが……
創作発表板は、「忍法帖のスルー」でスレ立てにレベル制限が付くのみで
投稿容量や投稿間隔の制限は、解除されてるよ。
>>3のURL 「忍法帖のスルー」参照)

11 :創る名無しに見る名無し:2011/06/27(月) 21:09:32.20 ID:3WJPHhOa
スレ立て、乙でした。

12 :創る名無しに見る名無し:2011/06/28(火) 09:30:26.95 ID:5pnpvUHU
乙です

13 :創る名無しに見る名無し:2011/06/29(水) 17:34:19.36 ID:5L+Lx+4x
乙。

14 :創る名無しに見る名無し:2011/06/29(水) 22:30:28.43 ID:A0mLraH2
スレ立て、乙です。
大変お久しぶりなのですが、SSが書きあがったので、添削の後、投下します。
よろしくお願いします。

15 :如月:2011/06/29(水) 22:54:01.68 ID:A0mLraH2
【メインタイトル】夕暮れの教室
【CP・または主な人物】ライ×カレン
それでは、今から投下します。よければ、感想をくれると嬉しいです。

16 :如月:2011/06/29(水) 23:07:38.19 ID:A0mLraH2
「あー、もう!」
 授業時間をとっくに過ぎ、太陽が鮮やかな朱色を身にまとい、ゆっくりと沈んでいくある日の夕暮れ。
 カレンは普段の学園での清楚でお嬢様然とした装いをまったく気にすることもなく、校舎を足早に進んでいた。
 目指すのは自分の教室の自分の机。
 学園終わりに黒の騎士団の会合があったため、生徒会の仕事も断り、最終時限の授業が終わると同時に学園を出てきたところまではよかったが、急いでいたために、思わず忘れ物をしてしまった。
「まさか、携帯を置き忘れるなんて」
 自分の失態を叱責するかのようにため息がこぼれる。
 カレンの携帯には、何か他人に見せられないほど恥ずかしい物が入っているわけではない。
 恋人との互いの気持ちを確かめ合う愛のメールなんて当然入っていないし、個人情報といっても、生徒会長のミレイを筆頭に生徒会役員のアドレスとその他数人のアドレスが登録してあるだけだ。
  
 黒の騎士団での連絡用には、私用で使う物とは別に、現在カバンにしまってあるもう一台の携帯を使っているため、そちらの心配はない。
 しかし、見せられないわけでなくとも、見せてもいいわけではないのだ。
 置き忘れた携帯にも、扇や井上ら親しい団員たちと個人的に連絡を取るために彼らのアドレスが登録されている。
 ブリタニア人がイレブンと蔑む彼らの連絡先がだ。
 それに、ミレイたちのアドレスだって、そう易々知られていいものではない。
 携帯はロックを掛けているので、ただの学園の一教師や一生徒にそれを解除してまで中身を覗くなんて芸当が出来るとは、到底思えないが……。
「……はあ」 
 それでも、そんな万に一つの不安を抱えたままでは、会合に出席しても真剣に話し合いなんて出来そうもない。
 カレンはカバンから取り出したもう一つの携帯で会合に遅れる旨を書き込み、ため息混じりにメールの送信ボタンを押す。
 そうこうしている間に、気が付くと目当ての教室にたどり着いていた。
 さっさと忘れ物を取ってきて会合に向かおうと、カレンは乱暴に扉に手をかけた。
「あっ……」
 けれど、そのまま扉を開いて教室の中に入ることはしなかった。
 教室にまだ一人、生徒が残っていたからだ。
 その生徒は、カレンと同じ生徒会役員で記憶喪失の少年、ライだった。
 ただライが教室に残っているというだけなら、カレンは何も気にせずに扉を開いていただろう。
 でも、そうではなかった。窓際の席に座って窓の外を眺めるライは、泣いていたのだ。
 声を上げることもなく、流れる涙を気にすることもなく泣いていた。
 その事実がカレンの体から自由を奪い、カレンは廊下からそんなライの姿を呆然と見ているしかなかった。

17 :創る名無しに見る名無し:2011/06/29(水) 23:09:37.30 ID:C5X61oOM
支援

18 :如月:2011/06/29(水) 23:09:57.74 ID:A0mLraH2
 窓から外を眺める。
 そこに映るのは、部活に精を出す男子生徒たち、まだ帰宅せずに、ベンチに座って友人とおしゃべりしている女子生徒たち、腕を組んで一緒に校門を出て行くカップルの姿。
もう日も暮れかかっている時間だというのに、まだ少なくない数の生徒たちの様々な様子を観察できる。
「……楽しそうだな」
 薄く呟きが零れる。
 みんなが、笑っているのだ。
 ライの目に映る生徒たちは、みんなとても楽しそうに笑っている。
 部活をしている男子生徒は記録を更新したと喜び、女子生徒たちは冗談を言い合って顔を綻ばせ、カップルの二人は見つめ合って微笑する。みんながとても楽しそうだ。
 ただ一人、ライだけを取り残して。
「僕には……無理だな」
 あんな風には笑えない。
 無感情なままの表情で吐き出される言葉は、ナイフを自分に突き立てるようにひたすら冷たい事実という棘をライの胸に打ち込んでいく。
「僕は、……一人だ」
 この学園に、みんなと同じ一生徒として通っている。
 それなのに、どうしてもこの考えが抜けない。
 何もかもが不安定なライの中で、これだけが唯一揺らがない。
 その考えは、他の生徒の楽しそうな姿を見るたびに、そして、ミレイたちの、生徒会のみんなの笑顔を、ライに対して向けられる笑顔を見るたびに深く深く突き刺さる。
 憧れはある。
 自分もあんな風に笑い合いたいと。
 けれど、彼らに近づこうとすると、心の深層部がそれ以上近づいてはならないと警告を鳴らす。
 まるで、そうすることが許されないことのように。
「……」
 どうしても思考は暗く沈んでいく。
 こんなことを誰かに言われたわけでもないのに。
 あるいは未だ思い出せない過去の自分は、そんな許されない人間だったのだろうか?
 もしそうなら、あの日決めたように、記憶を取り戻したら、みんなとは別れなくてはいけなくなる。
「僕は……」
 ライは何度目かの自分をなじる言葉を口にしようとする。
 だが、言葉の続きが紡がれることはなかった。不意に、人の気配を感じた。

19 :創る名無しに見る名無し:2011/06/29(水) 23:10:38.60 ID:C5X61oOM
支援

22 :如月:2011/06/29(水) 23:14:45.09 ID:A0mLraH2
 あれからどれくらいの時間が経ったのだろうか。
 まだ日が完全に沈みきっていないところを見ると、それほど長時間ではないだろう。
 それでも、先ほどまで聞こえていた他の生徒たちの声が消えていることから、幾分かの時間は過ぎたのだろう。
「……」
「……」
 教室の中が静寂で満たされる。
 抱き合っていた二人は今はもう離れて、隣同士の席に座って、無言のまま向かい合っている。
 ライは少し気まずそうにカレンを見つめて、カレンはライと目を合わさないように、顔を真っ赤にしながらうつむいている。
「あの……」
 どうしたものかと、恐る恐るライが先に口を開く。
 すると、言い終わる前に、カレンはガバッと顔を上げた。
「ち、違うの!」
「え……?」
「さっきのは、その……、そういうのじゃなくて。えっと……」
 今まで以上に顔を赤くして話すカレンの言葉は、慌てているのか、要領を得ない。
「カレン、落ち着いて」
「で、でも!」
「わかってるよ」
 そう言うと、カレンはきょとんとして、ライを見つめる。
 そんなカレンの仕種に苦笑しながら、ライは話しかける。
「今したことも、言ったことも、勘違いして欲しくないってことだろう?」
「え、えっと……。う、うん……」
「心配しなくても、そのくらいわかってるさ」
 他の誰かに話したりもしないと付け足すライに、カレンは複雑な気持ちを表情に表す。
 本当に勘違いなのだろうか? 私はどうなんだろう。
「でも……」
 カレンが定まらない想いに思考を廻らせている間に、ライはカレンに告げる。
「僕は嬉しかった」
「へっ……?」
 嬉しかった、という思いもよらない言葉を聞いて、カレンは思わず素っ頓狂な声を上げた。
「君に抱きしめられた時、なぜだか心がとても安らいだんだ。まるで、君の中にある優しさが僕の中へと流れ込んでいくように」
 その言葉を聞いている内に、カレンは羞恥心がふつふつと沸いてくるのを感じる。
 だが、すらすら述べるライは、自分がどれだけ恥ずかしいことを言っているのかなんてまったく意識せずに続ける。
「カレン、君は、とても温かいな。……ありがとう」
「〜〜〜〜っっ!?」
 感謝の言葉ともに、ライはカレンを見つめる。
 すると、羞恥心が許容量を超えたカレンは、熱でもあるのではないかと思えるほど顔を赤くして、立ち上がった。
「あ、あの! わ、私、用事があるから!」
「そうなのか?」
 明らかに挙動不審なカレンの言動だが、ライは意に介した様子もなく、平然と受け答えする。
「ま、またね」
 言い終わる寸前ぐらいで、カレンは素早く自分の机の中から携帯を抜き取り、お嬢様の猫かぶりをする余裕もないのか、走って教室を飛び出した。
「ああ……って、慌ただしいな」
 そう言って、走り去るカレンの後ろ姿の残滓を思い浮かべながら、笑った。
 そう、笑ったのだ。

21 :創る名無しに見る名無し:2011/06/29(水) 23:13:23.71 ID:C5X61oOM
支援

20 :如月:2011/06/29(水) 23:12:51.05 ID:A0mLraH2
 さっきまでライ一人しかいなかった教室に、今は別の者がいる。
 それは、女生徒だった。
 教室の扉の傍でたたずむ女生徒は、じっとライを見つめていた。
 ライを見つめる目には悲しみと寂しさが宿っていて、そのまま見つめられていると、何もかも見透かされているような気持ちになる。
「カレン……」
 ライが名前を呼ぶと、カレンは夕日に映える赤い髪を揺らして近づいてくる。
 ライの席の目の前に来たところで、二人の視線が重なる。
「……」
「……」
 交わす言葉もなく、互いに口を開かない二人の間には、沈黙も伴って、重苦しい空気が流れる。
「カレン、何か用か?」
 そんな空気に耐えかね、ライはカレンの様子を窺いながら尋ねる。
 だが、彼女からの返答はなく、カレンはただじっと、物憂げに瞳を揺らしてライを見つめる。
「カレン」
 もう一度、呼びかける。すると、彼女に動きがあった。
 腕をライの顔の真横へ持っていく。
 伸ばした手のひらが後頭部に触れ、ライの癖のある毛を押さえる。
 そして、頭が前に引っ張られ、ライの顔がカレンの胸に収まっていた。
「なっ……!」
 唐突に、本当に唐突に起こした彼女の行動にライの理解が追いついていかない。
 それでも、至近距離にある女生徒用の制服の上着部分と顔に伝わる女性特有のやわらかい感触が、嫌でも現状を知らせる。
「カレン! 何を……!」
 挟まれている顔をカレンの腕から抜けようともがく。
 だが、そうすると、カレンが腕に力を込めるので、あまり激しく動くと彼女の胸に顔を押し付けてしまう。
 そんなことでライが逡巡していると、そこで、ようやくカレンが口を開く。
「大丈夫よ。ライ」
「何がっ……?」
「大丈夫」
 同じ言葉を繰り返して、カレンは頭を抑えていた手でライの髪を撫でる。
 その優しい感触に次第に照れが消えていく。
「大丈夫だから、泣かないで」
「えっ……」
 言っている意味が分からなくて、思わずたじろぐ。
 けど、目じりに溜まっている涙滴と彼女の上着に滲んだ涙の跡で気づく。
 ライは無意識の内に泣いていたのだ。
「安心して。みんながいるから。私がいるから」
 優しい温もりに包まれていく。
 なぜだろう。彼女に触れられていると、とても心が安らぐ。
「あなたを、想っているから」
「ああ……」
 知らぬ間に、ライは体から力を抜いて、カレンに身を委ねていた。
 そんなライをカレンはぎゅっと抱き寄せる。
 そっと目を閉じると、彼女の香りが鼻腔をくすぐる。
 暗く雲がかかっていた心が晴れわたっていくように感じる。
「ありがとう、カレン」
「どういたしまして」
 そう言って二人は、互いに身を寄せ合う。

23 :創る名無しに見る名無し:2011/06/29(水) 23:15:44.22 ID:C5X61oOM
支援

24 :如月:2011/06/29(水) 23:16:03.72 ID:A0mLraH2
「はあ……、はあ……」
 今までいた教室から離れて、別の階層の廊下まで来たところで、カレンは走るのを止めて、壁に手をついた。
 どうしようもなく胸が苦しい。
 普段はこれぐらいの運動で乱れるはずのない息が乱れて、体は酸素を欲している。
「私……」
 そっと胸に手を置くと、服の上からでもはっきりとわかるほどに、心音が高まっている。
 やかましいほどの鼓動がカレンを締め付ける。
「私、どうしてあんなことを……」
 考えるよりも先に体が動いて、気が付けばライを抱きしめていた。
 さらにその上、まるで告白めいたことまでしてしまった。
「ああ〜〜、もう!」
 思い出したために再び湧き上がってきた恥ずかしさを抑えようよと、カレンは唸る。
 けれど、ありがとうと言ってカレンに微笑んだライの顔を、どうしても思い出してしまう。
「どうすればいいのよ……」
 ライは少しも気にした風ではなかったけれど、明日、彼と会った時にどんな顔をすればいいのだろう。
 ライはカレンの行為をどう思ったのだろう。……私のことをどう思っているのだろう?
「もしかして、私……」
 その先の言葉は紡がれることなく、カレンが薄く零した呟きは廊下を流れて消えていく。
 そして、窓から入り込んだ風が、火照ったカレンの頬を優しく撫でた。
 

25 :創る名無しに見る名無し:2011/06/29(水) 23:16:47.24 ID:C5X61oOM
支援

26 :如月:2011/06/29(水) 23:19:39.27 ID:A0mLraH2
投下が遅れてすいません。久しぶりだったもので、手間取りました。
「一行が長すぎるために投稿できません」と何度もエラーが出たので、一文毎に改行しました。
なので、読みづらいかもしれませんが、どうかご容赦を。
やっぱりライカレはいいですね。

27 :創る名無しに見る名無し:2011/06/29(水) 23:20:31.01 ID:C5X61oOM
投下お疲れ様でした。

28 :創る名無しに見る名無し:2011/06/30(木) 08:08:44.12 ID:oNsf1KoA
投下、乙です

カレンのさりげない告白と気遣いにニヤニヤさせられました
やっぱり、ライカレはいいですね

29 :龍を食べてみたい人 ◆0Tx1J0.kZc :2011/07/01(金) 19:45:56.53 ID:62Q6njb6
龍を食べてみたい人、です
明日にでもturn05を投下したいのですが、
前回のNGワードの失敗があるので、単語をチェックしているところです
引っかからないように、確かめることってどうやったらできるのでしょう?
かつて、さるで規制されたことがあるので、スレで直接確かめるのは怖いのですが…

30 :創る名無しに見る名無し:2011/07/02(土) 21:33:24.83 ID:r5Ua9EnJ
投下しないの?

31 :創る名無しに見る名無し:2011/07/02(土) 21:39:04.62 ID:ogS9KpCw
いつも通りの構ってちゃんなんだろ

32 :創る名無しに見る名無し:2011/07/02(土) 22:06:32.03 ID:smxcddeT
投下乙です。よても面白かったです

33 :創る名無しに見る名無し:2011/07/02(土) 22:53:41.03 ID:WcIr390H
>>29
とりあえず投下してみるのがいいと思うんだが

>>26
投下乙でした
ライカレ好きの自分にとってはたまらないものでした

34 :龍を食べてみたい人 ◆0Tx1J0.kZc :2011/07/03(日) 00:18:12.68 ID:qLxD6MML
遅れてすみません
パソコンのほうが規制されていて書き込めないので、携帯から書き込みます
書き込みが遅いかもしれませんが、ご容赦ください

35 :創る名無しに見る名無し:2011/07/03(日) 00:22:45.47 ID:H0Wj5v34
わかりましたー

36 :龍を食べてみたい人 ◆0Tx1J0.kZc :2011/07/03(日) 00:40:28.25 ID:qLxD6MML
TURN05「二人のルルーシュ」

行政特区日本式典で起こった虐殺事件。
これを契機に勃発した黒の騎士団の反逆――《ブラックリベリオン》は、トウキョウ租界から遠く離れた神根島で、終止符は打たれることになる。
「スザクうゥッッ!!」
「ルルーシュゥゥツ!!」
親友だった二人は、互いに憎悪し、拳銃を向け合い、引き金に力を込めた。
ルルーシュが撃った弾丸は、スザクのインカムをかすめる。
だが、スザクの撃った弾丸は、ルルーシュの頬を抉り、後頭部を突き抜けた。被弾した体は上半身をのけ反らせ、そのまま、仰向けに崩れ落ちる。かたい音を立てて、ゼロの手からコイルガンが転がり落ち、マントを羽織った体は地面を無様に這った。
ルルーシュの手足は震えていた。立ち上がる気配はない。
 スザクは知っている。
 今の痙攣は、死に直面した動物の動きだ。
 父親を刺殺した日から――
日本がブリタニアに敗戦した日から――
軍人になった日から――
人間の死は何度も見てきた。
だからこそ、解る。
ルルーシュはもう、助からない。
「…ユフィは、最後の、最後まで…ゼロの正体を、口に、しなかった」
 ユーフェミアが起こした日本人虐殺は、インターネットを通じ、世界中に知れ渡っている。ブリタニア政府が情報統制しようとも、人の口に戸は立てられない。
「ユフィが、何をした?」
スザクは眉間に皺を寄せ、顔面の皮膚が引き攣り、心も体も、悲しみと憎しみに支配されていた。
「お前は今まで、何をしてきた?」
スザクの翠緑の瞳がぎょろりと動き、足元を映す。
ルルーシュの麗しい容姿には、黒ずんだ銃創が空いている。
「正義を驕り、皆を騙して、戦場に駆り立て、多くの人間を犠牲にしただけだろう!」
スザクはありったけの殺意を込めて、ルルーシュに銃口を向けた。
「ユフィは、お前を信じていたのにッ!」
 彼女は、ブリタニアと日本の架け橋と成り得る存在だった。彼女は武器を持って互いに傷つけあうよりも、話し合うことで互いを理解し、武器を持たない戦場で、独立を勝ち取る方法を提示した。
そんな心優しいお姫様の名前は、未来永劫語り継がれることになる。
 虐殺皇女ユーフェミア――、と。
「ギアスでユフィの意思を捻じ曲げて、日本人を虐殺させてッ!なぜ、なぜユフィを殺したんだよおォォおお!!」
ドンドンドンッ――!
スザクは無我夢中で引き金を引き続けた。
コイルガンから排出された空薬莢が地面に飛び散り、ルルーシュの体は、銃弾を浴びるたび、何度も跳ねる。弾倉が空になっても、スザクは、カチカチ、とトリガーを引いた。
声にならない絶叫を喉から吐き、くぐもった息をこぼす。
殺したいほど、憎かった。
だから、殺した。
「……う、うううううぅッ…」
気づけば、温かいなにかが頬を濡らしている。
両目からは、ぼろぼろと涙が溢れていた。
 物言わなくなった親友の傍で、スザクは両膝から力が抜け、地面に座り込む。
「ぐふっ、うぐっ、あ、あぐぅ…」 喉から込み上げてくる嗚咽が、暗闇が広がる洞窟に響いていた。

37 :龍を食べてみたい人 ◆0Tx1J0.kZc :2011/07/03(日) 01:22:23.87 ID:qLxD6MML
「気は済んだかい?枢木スザク」

 光に目が眩んだスザクは、第三者の声を耳にして、はっと振り返る。
「……V.V.?」
神根島は断崖絶壁の孤島。
交通手段が存在しない場所に、どうやって辿りついたのか。
一瞬でそこに現れたかのように、V.V.を含む黒装束を纏った集団がスザクの眼前に佇んでいる。
「っ!?」
 違う。
 V.V.が現れたのではない。
 スザク自身がいた場所が、転移していた。
 見渡せば、未知の空間に自分がいる。 
「意外に呆気なかったなぁ、ルルーシュは。マリアンヌの子供のくせに」
 V.V.は、瞳から光彩を失ったルルーシュを、足のつま先で小突く。
男の肩に担がれていた青年が、大理石の床に置かれる。
銀髪が揺れ、見知った少年の顔があった。
「………………ラ、イ?」
上半身は裸であり、ユフィに撃たれた脇腹に包帯が巻かれていた。
「彼、暴れると危ないから、拘束服できつく縛っておいて。口を塞ぐのが先だよ」
V.V.は抑揚のない声で云い、黒服の男たちは命令に従う。
「何故、彼を…?」
「あれ?話していなかったっけ?」
 とぼけたような顔で、V.V.はスザクを見た。
スザクは、V.V.が外見から判断できるような、年相応の貴族の少年とは思っていない。
小さな体躯から滲み出る異様な気配に、スザクの第六感はけたたましい警鐘を鳴らしている。
「ライはね、僕やシャルルの憧れなんだ」
 シャルル――
ブリタニア皇帝の名前を呼び捨てにするV.V.にスザクは面食らった。
しかし、彼の何気なく云った言葉も、スザクの思考を揺さぶるには十分な威力を持っていた。
 ライは、アッシュフォード家に保護された記憶喪失の人間である。
皇帝やV.V.に興味を持たれるどころか、認識すらされない人物のはず――
「リカルド・ヴァン・ブリタニアなんて、古い血筋を持つというだけ祭り上げられた人間さ。
でもね、彼は違う。
実名共に、ブリタニアの最高の王だった」
ライが、ブリタニアの王?
ライ………ブリタニア。
スザクは、ライとブリタニアの単語を脳内で発音し、イントネーションにひっかかりを覚える。
そして、ある名前が頭を過ぎり、絶句した。

38 :龍を食べてみたい人 ◆0Tx1J0.kZc :2011/07/03(日) 01:30:56.11 ID:qLxD6MML
スザクは友を殺し、もう一人の友を皇帝に売り払った対価に、ナイトオブラウンズの地位を手に入れた。ぽっかりと空いた心の虚空がさらに広がるだけで、後悔は微塵も無かった。
その隙間を埋めるために、人に後ろゆびを指されれば、さされるほど、任務に没頭していく。ナイトオブセブンの肩書と、積み上げてきた成果が、反対派を封じ込め、仲間を呼び寄せ、ブリタニアの中で、確固たる地位を築き上げていった。
C.C.の登場と、ゼロの復活。
もし、ライのギアスが解け、ゼロを名乗っているのだとしたら――
スザクは、この場でライを殺すことになる。
(―――これは、最終テストだ)
『もしもし?聞こえているんだろう?ルルーシュ君』
 ライは後ろを振り向いたまま、言葉を発せない。
『もしかしてスザクから聞いていなかったかい?それは驚かせてすまなかったね』
「…る、ルルーシュ殿下とお話しできるなんて、光栄です」
『そんなに畏まることは無いよ。ルルーシュ君。それと、私は殿下じゃないよ。とっくの昔に皇位継承権を失っているからね。ふふっ、それにしても、変な気分だな。自分の名前で相手を呼びかけるなんて』
 携帯電話から聞こえてくる声は、間違いなくライの知るルルーシュ・ランペルージだった。棄てられた皇子であり、ブリタニアに挑んだ《ゼロ》でもあった男。
 そんな彼が、呑気な口調でライに語りかけてくる。
『君、チェスがとてつもなく強いんだって?スザクから聞いたよ。私がエリア11の総督として赴任した際には、一局どうかな?本国でも相手になる人がシュナイゼル兄様ぐらいしかいなくてね』
「…私も、相手になる者がいなくて、少々寂しい思いをしていたので…」
『ははっ!それは楽しみだ。総督って言っても、私はただのお飾りだからね。暇な時間はあるのさ。じゃあ、エリア11で会おう。ルルーシュ君』
プツリ、と電話が切れた直後、
「…スザクッ!」
 ライが狼狽した声を出した。
 スザクは身構える。
 ライのギアスは聴覚に訴えるギアスだと聞いている。ならば、ギアスを発動させる前に、体を押えつけて口を封じ、喉元を斬り裂いてしまえばいい。
「びっくりしたよ。心臓が止まるかと思った!ルルーシュ様って、あの閃光のマリアンヌ様の息子だろう?」
「…え?」
「俺の腕を買いかぶりすぎだよ、スザク。俺が惨敗して、ルルーシュ様の機嫌を損ねでもしたら、どうすればいいんだい?」
ライもルルーシュと同じほど、頭の回転が速い。
少々の罠ではひっかからないどころか、たちまち、それを逆手に取られ、不利な状況を作られるかもしれない。だからこそ下手なカマはかけず、タイミングを見計らい、最大級の罠をしかけた。
死んでいるルルーシュが生きている。
ライの動揺を誘うために、これ以上の仕掛けは無いだろう。
スザクは袖に忍ばせている軍用ナイフをいつでも取り出せるようにしていたが、ライの表情を観察していて、毒気が抜かれる。
どう見ても、記憶を取り戻したような素振りではない。

39 :龍を食べてみたい人 ◆0Tx1J0.kZc :2011/07/03(日) 01:44:03.68 ID:qLxD6MML
すみません。投下ミスです
37と38の間にこのレスです

「ま、ま…まさか」
神聖ブリタニア帝国建国に際し、ブリタニア史の初期に語られる王。
実史が幾多の逸話や伝説で語り伝えられ、実在したことすら歴史家たちに疑われる幻の人物。
 二〇に満たない年齢で王位についた彼は、先進的な改革を断行し、民を蛮族の侵入や飢餓から救ったと思いきや、一年後には国民を総動員させ、敵国に玉砕させた。
この大事件が、ブリタニア覇権の火ぶたを切ることとなり、帝国内では英雄と称えられるも、敵国からは稀代の暴君、《狂王》とも怖れられた若き王。
「うん、そうだよ。彼はライゼル・エス・ブリタニア。僕たちの遠いご先祖様なんだ」
「そ、そんな…だって、狂王は数百年前の人間で…!」
ギアス――
言葉だけで、どんな命令でも人を従わせることができる力。
 そんな得体の知れないモノが存在するのならば…
「実はね、ライもギアスも持っているんだ。ルルーシュと同じ、絶対遵守の力を」
 スザクの思考は停止した。
「…ライが、ギアス、を?」
 ルルーシュだけではなく、ライも、ギアスを持っていた。
その事実が、スザクをどん底にたたき落とした。
ライの人物像が、音を立てて崩れていく。
彼の笑顔も、彼の優しさも、全てが――嘘。
「………そうか」
 恋人の死。
 一人の友の殺害。
 もう一人の友の嘘。
 大切なものをすべて失い、満身創痍になったスザクの心身に、妙な力が宿り始める。
 気付けば、涙は、とっくに枯れ果てていた。
氷河のように冷えきっていた心に、凄まじい感情が突如出現し、その氷をじわじわと溶かしていく。
だが、それはかつてのように、己を律してきた正義感や情熱ではない。
全身を昂ぶらせている正体は、全身が煮えるような黒い炎。
「ライ、ルルーシュ…」
これが罰だというのなら、その罰を受け入れよう。
しかし、いくら強靭な精神を持つ人間でも、度重なる悲劇に打ちひしがれ、必ず立ち直れるとは限らない。
心は、曲がることも、折れることもあれば――壊れることもある。
「お前たちは、俺を…ずっと騙していたんだな」
無言で立ち上がったスザクは、床に倒れているライに近寄ると、乱暴な手つきで、彼の銀髪を掴んだ。

44 :龍を食べてみたい人 ◆0Tx1J0.kZc :2011/07/03(日) 02:30:58.66 ID:qLxD6MML

   ◇

けだるい睡魔を振り払いながら、初老の男は、正門の警備室の中で椅子に座り、新聞を広げた。
ブラックリベリオンによって鎮火したゼロの報道は、バベルタワー、中華連邦総領事館の事件をおいて息をふき返き、記事の一面はゼロと黒の騎士団に独占されていた。著名な人間の根も葉もないコラムは読み飛ばし、民間メディアがどこまで掴んでいるかを確認する。
機情が得る情報と民衆が得る情報では、正確さと鮮度に関して、天と地の差があるが、これも諜報部たる人間の仕事であった。
アッシュフォード学園の正門は七時に開けなければならないが、まだ時間はある。年嵩の男は、窓を開けると、肌寒い早暁の空気に触れ、ガウンを羽織った。
人の足跡が聞こえる。
校舎の方角に目を向けると、制服姿のルルーシュ・ランペルージが警備室に向って歩いてきた。美しい銀髪、端麗な顔立ちに、女のようにきめ細かい肌をしている少年。成績は優秀で、運動も出来、人当たりも良い。
同じ男として、ルルーシュ・ランペールという男は認めたくない存在だった。一年間、監視し続けた身であるからこそ、彼をよく知っている。ルルーシュの学園生活を眺めていると、可も無く不可も無かった己の学生時代が惨めなものに思えてくる。
 部下の報告によると、歓迎会の後、自室に恋人を連れ込んだらしい。
 誰もが羨むような人生を過ごしている彼に、子供じみた嫉妬心を燃やしていると、
「おはようございます」
と、柔和な笑顔で挨拶をされた。
「おはよう、ルルーシュ君。今日も早いね。どこか出かけるのかい?」
 言葉を交わすのは初めてではない。
ルルーシュは早朝トレーニングを日課にしており、ランニングの途中でよく顔を合わせていた。その足で朝食作りにとりかかり、七時前後には妹を起床させ、身支度を整えた後、一緒に食事を取ることが彼の日課であった。
「ええ。だから、案内してくれると助かります、――――さん」
 年嵩の男は、一瞬、何を言われたのか、解らなかった。
ルルーシュが吐いた言葉を頭が理解するなり、血の気が引き、全身が凍りつく。
 年嵩の男は偽名を使ってアッシュフォード学園の警備員に潜り込んでいる。ルルーシュが、彼に云った名前は、紛れもない本名。
「ライが命じる」
ルルーシュ――ライの言葉を耳にした男は、この瞬間を持って、人生は終わりを告げる。
そして、ギアスによる傀儡の余生が幕を開けた。

     ◇

47 :龍を食べてみたい人 ◆0Tx1J0.kZc :2011/07/03(日) 02:57:34.81 ID:qLxD6MML
ライは、早まる心が抑えなられない。足元に転がる死体を無視し、進んでいく。
そして、一際重厚な扉を開けた時、花吹雪がライの視界を遮った。
アーチの先にある庭園に、一人の少年が呆然と立っている。
 (―――――っ!ルルーシュッ!!)
ゼロの仮面をつけていなければ、ライは声のかぎり、叫んでいただろう。
彼の顔を、一度たりとも忘れたことはない。
煌びやかな服を纏い、驚愕の表情を浮かべたルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが、ライの目先にいた。

     ◇

 脱出システムが作動しない。
 紅蓮弐式が重力に引かれて下降していく最中、カレンはコックピット内で混乱の極地に陥っていた。
 時速60以上の速度で海面に叩きつけられれば、機体はコンクリートに落下した同等の衝撃を受けることになる。コックピットに内蔵されたショックアブソーバーが、多少、効果を発揮するとはいえ、タンパク質とカルシウムの塊である人間の体が耐える道理は無い。
数秒後には、良くて即死。
悪ければ、見るに堪えない肉片へと成り果てる。
 カレンの運命は、まさに、白き死神の鎌に斬りおとされようとしていた。
「ごめん、ママ、お兄ちゃん…皆、ライ」
 ナイトメアのパイロットになったときから、死は、覚悟していた、
 だが、頭で解っていても、迫りくる死の恐怖を受け入れられるとは限らない。
『ベストポジションじゃない』 
通信が入る。
「…えっ?ラクシャータさん!?」
神はまだ、彼女を見捨てていなかった。

    ◇

空中換装という離れ業で、紅蓮弐式は、新たな姿へと生まれ変わる。
「これが、紅蓮可翔式…」
 翼を得て、機体の出力も桁違いに上がっている。
「私は、ゼロをっ…ライを守る!」
『続いて、第2カタパルト、ハッチ、オープン』
潜水艦の鋼鉄のハッチが開き、新型ナイトメアが陽を浴びた。翼を備えた、もう一機のナイトメアが姿を現し、大空をはばたく。
「…やっと、でてきた」
「ははぁ、あれがうわさに聞く、黒の騎士団の双璧か」
 紅蓮可翔式の後方には、蒼きナイトメアがX型フロートユニットを煌めかせ、ラウンズの機体に迫りつつある。
(まさか、ライなのかっ!?)
 スザクは一年前、日本で、幾度となく戦場であのナイトメアと対峙してきた。
(機情からの報告は無い。ライはルルーシュ・ランペルージとして、トウキョウ租界にいるはずだ。しかし、あの機体は…!じゃあ、ゼロは一体誰が…!)
飛翔滑走翼を装備した月下、とスザクは認識したが、蒼いナイトメアは、月下ではなく〈暁〉。紅蓮弐式をベースとして、月下の流れを含む黒の騎士団の機体であり、輻射波動による防御機構・輻射障壁を持つナイトメアである。
「ジノ、アーニャ、気を付けろ。紅蓮の突破力も脅威だが、蒼いナイトメアは特に油断するな、頭のきれるヤツが乗っている!」
「スザクがそこまで言うなんてな。ブリーフィングで聞いているよ、
紅蓮ってやつはあのオレンジを倒したほどの奴なんだろ?蒼いのは、それ以上に危険なのか。指揮官と戦闘員を兼ね備えたパイロットねぇ、へぇ、面白そうだな。アーニャ、蒼い奴は私がやる」
「…じゃあ、紅いナイトメアは私。スザクはルルーシュ総督の救助」
答えるまでも無い。
スザクは操縦桿を握ると、フロートユニットの右翼が煌めき、〈ランスロット・コンクエスター〉はログレス級の航空艦へと旋回した。
 トリスタンとモルドレッドは、ゼロの双璧と対峙する。

    ◇

51 :龍を食べてみたい人 ◆0Tx1J0.kZc :2011/07/03(日) 03:10:38.22 ID:qLxD6MML
以上です
携帯で15000字はきつい(;´д`)
もう寝ます

52 :創る名無しに見る名無し:2011/07/03(日) 08:00:57.81 ID:s1kz5DjQ
投下、乙です

携帯からの投稿とのことでしたが、文字数の制限の為か後半の描写が不足していたと思います。次投下して戴ける時も規制中なら代理投稿してもらうといいと思います

遂にルルーシュ登場。しかしコードの譲渡で復活ってことは今不老不死なのだろうか?記憶もないみたいだし、どうなっているのだろう?

次の投下も楽しみにしています

61 :創る名無しに見る名無し:2011/07/04(月) 09:59:30.51 ID:X0z+nTaD
保管所の更新が止まっているが、更新しないの?

62 :創る名無しに見る名無し:2011/07/04(月) 17:07:35.99 ID:mTYnv/It
>>59
目が見えないのはギアスが原因だから
ユフィも最初抗ったろ

71 :創る名無しに見る名無し:2011/07/27(水) 19:15:30.67 ID:lmD4xY2U
カグヤEND後の続きとか、『ゼロ・レクイエム』に参加するノネットさんとか、黎星刻END後とか

145 :創る名無しに見る名無し:2011/10/04(火) 10:29:48.34 ID:h/PLVkMe
>>144
腐女子の妄想駄文に触るなよ
そっとしておいてやれ

196 :創る名無しに見る名無し:2011/10/22(土) 00:53:07.36 ID:7vaT5DPe
めだ○ボックスに出てきた新キャラがライにそっくりだったよ

222 :創る名無しに見る名無し:2011/12/01(木) 14:53:51.01 ID:e0jeM+n+
wikiって更新停止中?

300 :創る名無しに見る名無し:2012/07/14(土) 11:40:34.70 ID:fm15qD4U
保守